読まず嫌いと読んで嫌い

 拙が「この作者の本は絶対に読まん」と決めている作家が3人います。理由は、それぞれ異なります。
 古い順に並べると。赤川次郎、東野圭吾、百田尚樹ですね。

 まず、赤川次郎。初期短編ですが。一読、見捨てました。
 ガラスケースに入れてある人形が、夜な夜な顔の向きを変えている――という、ホラーめいた話。作者はミステリーのつもりなのでしょうが。その種明かしが……犯罪の証拠となる拳銃の弾が人形に隠されていて、手を触れずに取り出そうとして磁石でアレコレして。弾が動いた結果……
 見捨てた理由は、おわかりでしょうね。『鉛玉』を磁石で動かすんですよ。コイルの中を乾電池が突っ走る動画はゴチャマンですが。あれは007の法則で、なんらトリックはありません。さて。磁石で鉛玉を動かす法則なりトリックがあれば、教えてほしいですね。
 こげな、小学生でもわかるチョンボが、しかも『謎解き』ときちゃあ、その後の精進を見守ってやる気にもなりません。

 つぎの東野圭吾は、これは読者の立場での不読ではないです。
 ハヤカワ・SFコンテストで参考作に滑り込んだとき。授賞式なんか、なかったので。ご挨拶と持ち込みを兼ねて、こちらから押しかけました。そのとき、「こういう人も持ち込んで、まだデビューできない」と生原稿を見せられたのです。
 さらに。拙のSMセレクトの最初の掲載短編のPNが(編集部の手がはいって)東野苑明だったので。親近感というか、憎悪ではないけれど嫌悪というか。ついに今まで、ただの1作も読んでいません。

 最後のはねえ。
 『永遠のゼロ』を読んだとき、引用が多いのはまあ、なんですけど。その引用の仕方が生コピペみたいで、火が通ってない。のは、まあ、小説の出来が良ければ、許しますけど。
 で、この人。空戦機動とか操縦とか、どこかの誰かさんみたいに、生半可な知識で書き散らかしたりはせず、外部視点の客観描写で留めてるのは、さすがに分をわきまえてますね。
 しかし。当の本人がネトウヨレベルと知って、一気に興醒め。
 女を泣かせたり破産したりの人格崩壊なら、作家と作品は別物と、気にもしませんが。
 殺人者が反省もせず本を書いたり、八百長試合の総本家が雑誌上で人生相談をしたりは、すくなくとも拙の許容範囲を超えています。
 百田尚樹には、そこまでの拒絶反応はありませんが。これまで目をつぶってきた『アラ』が厭になってきます。
 作者に、そもそも基礎知識が無い。
 ゼロ戦52型が22型より優れていると、あっさり書いていますが。
 52型は『二号ゼロ戦問題』の32型と同じ翼長で先端を丸めただけ。どういうことかは、各自でどうぞ。
 だいたい。防弾だなんだと、重量は何割も嵩んで、発動機出力は970馬力が1020馬力とか、その程度のアップでしかない。あ、数字はうろ覚えですけど。スピットやメッサーが、1千馬力クラスから最終的には2千馬力クラスにレベルアップというより、もはや転職したのに比べると。航続距離や運動性を大きく犠牲にして、わずかな防弾性能と1割以下の高速化ですから。22型が最高だと主張されるベテランパイロットもいました。
 しかも。女と博打に明け暮れて、昼間っから酒を飲みながら働いていた(しばしばストライキ紛いも)ベテラン工員が作ったゼロ戦22型と、御国のために生まれて初めてさわる工作機で一生懸命に女学生たちが作った52型と――どちらが出来が良いか、自明です。
 そこらへんを押さえたうえで、それでも特攻には52型のほうが向いている――という記述が無ければ。「こいつ、知らねえな」です。

 まあ。他山の石というか、棚上げマイセルフというか、わかってますけどね。

ゼロ戦+ゼロ戦52.jpg
 左がデュアーさんの、とても良く飛ぶゼロ戦。何型とは特定できません。
 右は「とろつ機」です。52型です。うまく調整すれば、20秒かそこらは飛ぶこともあります。
posted by 晴鬼 at 00:00Comment(0)日記